広島県安芸高田市の石丸伸二市長が7月に行われる東京都知事選挙に立候補する意向を表明しました。
石丸市長は2024年5月17日、広島市で記者会見し「私が都知事を目指し、実行していきたいのは東京の発展、そして地方の発展、すなわち日本の発展だ。」と述べ、ことし7月に行われる東京都知事選挙に無所属で立候補する意向を表明しました。
石丸市長は、どんな経歴と実績を重ねてきたのでしょうか。
今回は、石丸市長の経歴と、安芸高田市長としての実績をまとめました。
石丸伸二の経歴
学歴
- 広島県高田郡吉田町（現：安芸高田市）生まれ。
- 吉田町立吉田小学校、吉田町立吉田中学校、広島県立祇園北高等学校卒業
- 2006年、京都大学経済学部卒業。
広島県立祇園北高等学校は、綾瀬はるか、アンガールズの山根良顕の出身校でもあります。
職歴
- 2006年、三菱東京UFJ銀行に入行。姫路支店に配属。
- 2014年、為替アナリストとしてニューヨークに赴任し、4年半にわたってアメリカ大陸の主要9か国25都市で活動。
- 2020年7月、同行を退職。
安芸高田市長に就任
2020年7月8日、在宅勤務中に「退職します」と銀行に連絡を入れ退職し、7月22日に正式に安芸高田市長選に出馬表明しました。
同年8月9日に行われた市長選挙で、対抗馬の前副市長にとの一騎打ちを制し8,076票（得票率60.18%）を得て、2,732票差で初当選しました。
石丸伸二の安芸高田市長としての実績
財政健全化に向けた取り組み
石丸市長は2020年9月の所信表明の基本方針において、財政健全化と行政改革を掲げました。
- 田んぼアート事業の中止
- 婚活事業の打ち切り
- 観光協会の解散
- 施設の廃止
- 中学校統合計画の検討
- 市花火大会の廃止
- 青少年海外派遣事業の廃止
- 甲田古墳整備の凍結
2023年10月12日には市長任期が残り1年を切った中で、就任時に掲げた政治再建に関し「ほぼ達成した」との見解を、市議会定例会で答弁しました。
メディア戦略
YouTubeを活用
安芸高田市は、市議会が公開する市長記者会見や市議会一般質問を、積極的にYouTubeに公開しています。
2024年1月18日、安芸高田市YouTube公式チャンネルの登録者数が20万人を突破し、自治体のYouTube公式チャンネルとして全国最多となりました。
石丸市長によると「YouTubeの市公式チャンネルで毎月200万円の広告収入が市の歳入として入るようになった」そうです。
地元メディアを批判
市長記者会見や市の広報紙などにおいて、地元メディアである中国新聞・中国放送（RCC）に対し、「偏向報道」「取材不足」「印象操作」などと度々批判しました。
特に、2023年7月の記者会見での中国新聞とのやりとりはYouTubeに公開されたあと、多くの反響を呼びました。
これらのメディア批判について石丸は、注目を集めるために意図的に行なったと語っています。
市議会との対立
SNSで市議の居眠りを投稿
2020年9月25日、石丸市長はTwitter上で、一般質問で市議の1人がいびきをかいて寝ていたと投稿しました。
これに対し、指摘された市議は取材に「一過性の脳梗塞で意識を喪失していた。居眠りではない」と反論しています。
副市長人事案の否決
2021年1月4日、石丸市長は二人目の副市長に関して全国公募を開始しました。
市は、4月就任予定で任期4年、月額給与70万円、年収約1,200万円という条件を提示し、目標の4倍以上となる4,115人から応募があった中で、東京都の団体職員の女性を内定したと発表しました。
市議会は、この公募副市長の人事案について3度にわたって否決し、逆に市議会は本会議において、副市長の定数を2人から1人に減らす条例改正案を賛成多数で可決し、石丸市長が提案した人物の副市長就任は不可能となりました。
台風接近中の他県トライアスロン大会出場
石丸市長は、プライベートの趣味としてトライアスロン大会に度々参加しています。
2022年9月17日から19日の3連休中に、大型台風が中国地方に接近する中で、石丸市長は18日に千葉県で開催されたトライアスロン大会に参加していました。
安芸高田市議会においては、市議から「市長村長が全責任を負う覚悟を持って陣頭指揮を執る」ことが必要等の理由を挙げて、台風接近中の遠方外出を問題視し、批判しました。
無印良品出店計画の専決処分と否決
2023年4月27日付で、市と生活雑貨大手「無印良品」を展開する良品計画は、市内の「道の駅 三矢の里あきたかた」に無印良品の店舗を開き、地域資源を活用した商品開発などを進める計画を発表しました。
4月28日、市は改修の設計費などの関連予算450万円を、議会の議決を通さずに専決処分しました。
この専決処分や、事前説明の不足に議会側が反発し、議会側は専決処分を承認せず、実質的に無印良品の出店は頓挫しました。
次期市長選不出馬と、2024年東京都知事選への立候補を表明
2024年5月10日の臨時記者会見で、任期満了に伴う7月の安芸高田市長選に不出馬を表明しました。
そして5月17日、東京都知事選の立候補を正式に表明しました。「やらないといけないことがある。地方の衰退、これを止めるという作業だ」と動機を語り、無所属・政党推薦なしで出馬することも明らかにしました。
安芸高田市長としての評判
「対議会で注目は集めたが、政治への関心とは別物。まちづくりの政策は見えなかった」
「財政の課題を多くの市民と共有できたのは評価できる」
「これだけ話題になったので、市民の審判を仰いでほしかった」
西田亮介准教授
「市長は世論を意識し、自分の見せ方を分かっているが、肝心の施策面で何をしたいのかがよく見えない。」
まとめ
広島県北部に位置する人口26,000人余りの安芸高田（あきたかた）市。
過疎・高齢化が進む小さな地方都市で、2019年参議院議員選挙の際の大規模買収事件で、現金を受け取った当時の市長と市議3人が辞職し、2020年8月に急きょ市長選が実施されました。
そこで、市民が選んだのは、政治経験ゼロ、元銀行員の37歳・石丸伸二氏でした。
石丸市長は、「政治の見える化」を掲げ、ツイッター（現X）での情報発信を積極的に行い、議会や地元メディアとの対立関係も利用して劇場型政治家として注目を集めました。
今回、6月告示の都知事選への立候補を表明し、もし当選すれば、安芸高田市でやったように、東京でも「見える化」を貫くのでしょうか。
今後も石丸伸二氏から、目が離せませんね。
コメント